地域経済レポート■2001年8月

「ブロードバンドの普及を契機にさらなる拡大が期待されるIT関連産業」
-今後の成長のカギとなる魅力的なコンテンツ市場の形成-

執筆者:調査部 新瀧 健一
「かながわ経済情報」2001年8月号収録

 要 旨 
1.  インターネットの利用人口が急増するとともに、DSLなどのブロードバンド接続が急速に普及するなどデータ伝送速度の高速化もめざましく、その結果やりとりされる情報量は飛躍的に増えている。神奈川においても情報化の進展は著しく、家庭関連の情報化指標をもとに都道府県別の情報化度を試算したところ、神奈川は東京に次いで2番目の先進県であるとの結果を得た。
2.  情報化の進展を支えるIT関連市場も拡大しており、2000年にはパソコンなどのプロダクツ市場が前年比+39.7%、ネットワークサービスなどのサービス市場が同+26.7%、家庭用ゲームソフトやDVDソフトなどのコンテンツ市場が同+8.4%となり、あわせてほぼ10兆円の市場規模となった。
3.  県内におけるそれぞれの市場動向をみると、コンテンツ企業の集積は薄いものの、プロダクツ市場は2000年に急拡大し、サービス市場もCATVインターネットやDSL加入者数の急増により急速に拡大している。ただ、2001年には米国経済の減速を背景にIT生産は頭打ちとなり、サービス市場も低価格化による競争の激化がみられはじめた。
4.  ブロードバンドの普及によりインターネットを用いた映像配信などが実用化されつつあり、当面はコンテンツ配信を巡るビジネスモデルの構築に向けた試行錯誤が続くとみられる。高品質な魅力あるコンテンツほど容量が大きくなるだけに、伝送速度のさらなる高速化を実現するサービスや機器の生産が不可欠であり、3つの市場の三位一体となった拡大が期待される。

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