1.
| 1990年代入り後の東京大都市圏において、就業機会創出の主役が変化している。すなわち、地域別には東京の都心エリアからその周辺に位置する中心市へ、また、都市機能別には生産機能から業務機能や商業・サービス機能へと重心が移っている。ただ、神奈川の中心市においては、すでにそうした機能の集積が進んでいることなどから、変化のスピードという点で他県と比べて緩やかである。
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2.
| そうした結果、東京都心部への一極集中傾向には歯止めがかかっている。しかしながら、なお都心エリアに業務機能が集中していることを反映して、中心市の多くは業務機能と比べて商業・サービス機能の比重が大きい。神奈川の場合、他県に比べ業務系の集積が厚く、またその中でも事務職や管理職ではなく、研究者などを含む専門・技術職の比重が大きいという特色がある。
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3.
| 次に、商業機能について中心市の別にみると、横浜市は小売販売額の規模、売場効率、拠点性いずれの面においても高水準であり、中心市の中でも商業集積の厚さが際立っている。このほか柏市、立川市、藤沢市、さいたま市など大手百貨店の立地する都市では総じて商業機能が高い。なお、川崎市や横須賀市は売場効率が高いうえ、規模も大きいものの、特別区部や横浜市と競合するため、拠点性が低位にとどまっている。
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4.
| 周辺の市町村から多くの就業人口を引き寄せているのは、中心市の中でもとくに横浜市やさいたま市、千葉市の県庁所在市である。これらは、業務など諸機能の集積がすでに厚い都市であるうえに、業務核都市としての政策的な後押しもあってさらに集積が進展しており、東京大都市圏の周辺都市における新たな一極集中問題という見方もできよう。
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