| 1.
| 個人消費の低調が続くなかで、総じて小売業の業況は厳しい。なかでも百貨店の苦戦は際立っており、2001年の年間売上高は9.6兆円と88年依頼の10兆円割れとなり、ピークであった91年に比べ2割以上減少した。神奈川の百貨店については90年代に集積の厚みを増すなかで、東京への購買力流出に歯止めがかかってきたものの、売上高は減少傾向にあり、2001年は7,058億円とピーク比(91年)11.1%低下している。
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| 2.
| しかしながら、これまでの売場改革への取り組みが奏功し、2001年には売上高に持ち直しの動きがみられるようになった。商品別にはブランド品販売の好調なバッグや靴、アクセサリーを含む身の回り品や、「デパ地下」といわれる食料品売り場のにぎわいに象徴されるようように食料品が売上高を伸ばしている。実際、2001年に増収となった首都圏の店舗を見ると、海外有名ブランドの強化や食品売り場の改装等により集客力を増した例が多く見受けられる。
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| 3.
| 加えて、人件費や物流費などのコスト削減効果により利益面も持ち直してきた。上場および店頭公開している百貨店(18社、単独ベース)の営業利益は、2000年度に前年比20.4%増となったのに続き2001年度も増益となる見込みである。
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| 4.
| このように百貨店の業況に持ち直しがみられる背後で、激しい店舗間競争の結果、閉店に追い込まれる店舗が増加している。すなわち、「復活した」百貨店はこれまでの競争に勝ち残った百貨店といえよう。今後を展望すると、首都圏における百貨店売上高の拡大が見込めないことや、他業態との競争もさらに厳しさを増すことが想定されるため、各店にはこれまで以上に独自性が求められるほか、売場改革やコスト削減を進めることが必要だ。
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