地域経済レポート2002年7月

「厳しさが続く神奈川県下の雇用情勢」
 -求められる中長期的な雇用創出に向けた取り組み-

執筆者:調査部 河合良介
「かながわ経済情報」2002年7月号収録

 要 旨 
1.  神奈川県下の雇用情勢は2001年度下期以降急ピッチで悪化した。悪化の内容を子細にみると、(1)製造業からの離職者が急増している、(2)性別には男性、年齢階級別には若年層と中高年層で増えているという特徴がある。ただ、(3)若年層では自己都合、中高年層では事業主都合による離職者がそれぞれ多いという違いがある。
2.  また、(1)年齢、(2)職種、(3)賃金の3つの側面においてミスマッチが発生していることから、この先景気が順調に回復軌道をたどったとしても、雇用情勢の改善テンポは緩やかなものにとどまらざるを得ないと考えられる。
3.  そうした状況下、政府はセーフティネットを中心とした雇用対策を矢継ぎ早に打ち出している。2001年度の第1次補正予算では緊急地域雇用創出特別交付金として3,500億円が計上され、これを振り分けられた地方自治体が緊急かつ臨時的な雇用創出を目的に、地域の実情に応じた事業を年明けから開始している。
4.  もっとも、いかに眼前の状況が厳しくとも、中長期的に雇用創出を図るための取り組みを怠ってはならない。それぞれの自治体としては公共職業安定所や商工会議所などと協力して、まずは各地の雇用情勢の実態を的確に把握することが肝要であろう。そのうえで、具体的な雇用創出計画の策定を視野に入れつつ、人材育成と産業振興を着実に進めることが必要である。

【本件についてのお問い合わせ先】
(株)浜銀総合研究所 調査部 河合
電話 045-225-2375(ダイヤルイン)

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