地域経済レポート■2016年5月

「2016年度の神奈川県内建設投資の見通し」
―県内建設投資は減速しつつも2年連続の増加になる見通し―

執筆者:調査部 湯口 勉
「かながわ経済情報」2016年5月号収録

 要 旨 
1.  最近の神奈川県内における建設工事の着手状況をみると、企業の設備投資関連の建設工事が増加トレンドを維持している一方で、住宅建築は2015年の春以降、弱含む傾向にある。また、公共工事も2015年序盤の急増後、同年半ば以降は減少基調となっている。こうしたなか県内の建設投資は、比較的高い水準を維持しつつも、2015年半ば以降は緩やかに下向く展開になっている。
2.  以上のような建設工事の着手状況をもとに2015年度通年の県内建設投資を推計すると、前年比7.9%増の2兆7,949億円となる。足元の建設関連統計は弱い動きを示すものが多いが、2014年度の県内建設投資が消費税率引き上げ等の影響で低水準にとどまっていた分、2015年度は年度を通せば民間住宅建築、設備投資関連、公共工事のいずれも前年を上回る結果になったと見込まれる。
3.  続く2016年度の県内建設投資については、前年度比6.8%増の2兆9,851億円と、2年連続の増加を予測する。2016年度も民間居住用(住宅建築)、非居住用(設備投資関連)、公共工事の全てが前年度を上回るとみられるが、このうち企業の設備投資関連の建設投資は2015年度よりも増勢を強め、一方で、民間住宅建築と公共工事は増勢を弱める形となろう。

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