地域経済レポート■2018年8月

「人口減や高齢化の地域差拡大が見込まれる神奈川県」
-川崎、横浜市と県西、三浦半島地域では人口の見通しに大きな違い-

執筆者:調査部 小泉 司
「かながわ経済情報」2018年8月号収録

 要 旨 
1.  わが国の人口は減少が続いているものの、神奈川県では県外からの転入者が転出者を上回っており人口増が続いている。また全国で高齢化が着実に進むなか、本県は相対的に高齢者比率が低く、働く世代の多い地域である。ただし、県内でも地域によって人口増減や高齢化の状況には大きな違いがある。
2.  国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、この先は神奈川県も人口減に転じ、高齢化が進む見込みである。また、県内における人口減少や高齢化の地域差も拡大していく。すなわち、川崎市や横浜市の一部の区では、2045年時点の人口が15年時点を上回る一方、県西地域や三浦半島地域では人口がほぼ半減し、75歳以上比率が3割を上回る自治体もみられる。もっとも、過去の人口推計では、再開発により人口の実績が推計値を大きく上回ったケースもあるため、今後の再開発動向などを注意してみてくことが必要である。
3.  人口減少や高齢化の進展は県内経済にも大きな影響を与える。まず、勤労世代の減少により県内経済の成長力に下押し圧力が加わる。企業では女性や高齢者などの労働参加率を高める取り組みのほか、設備投資や業務の効率化が必要となろう。また、行政サービスの維持なども困難になる可能性がある。社会生活への影響も大きくなると予想されるため、早めの対策が望まれる。

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