地域経済レポート■2018年9月

「2045年までの神奈川県内の医療需要の見通し」
-2025年前後でピークを迎える地域と増加が続く地域に分かれる-

執筆者:調査部 清水 徹
「かながわ経済情報」2018年9月号収録

 要 旨 
1.  2045年までの医療需要の推計を行った結果、神奈川県の入院医療需要は、全国では2030年前後にピークを迎えるのに対し、2045年まで増加が続く見通しである。医療圏別にみると、9地域中6地域で2045年まで増加が続く一方、「横須賀・三浦」では2025年前後にピークアウトし、2045年の患者数が2015年の水準を下回るなど、地域によって状況に大きな差が生じる。加えて、長期的に入院医療の受療率が低下傾向にあることを踏まえ、受療率の低下を考慮した推計を行ったところ、県全体の2045年時点の患者数は、現状投影の場合に比べ減少するものの、2015年比で10%増加する結果となった。
2.  外来医療需要は、全国では2025年前後にピークを迎えるのに対し、神奈川県では2030年前後にピークを迎える。医療圏別では、9地域中3地域で2045年まで増加が続く一方、2地域では2025年よりも早くピークが到来する。
3.  以上の結果を踏まえると、神奈川県内では、2025年以降も医療需要の増加が続き、病床の整備や従事者の確保が課題になる地域と、2025年前後に需要のピークが到来し、病床の縮小や事業内容の見直しなどの対応が必要になる地域が出てくると予想される。地域・医療機関ごとに、将来の見通しを踏まえた対応を計画的に進めて行くことが求められよう。

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