地域経済レポート■2019年1月

「2018年の神奈川県経済と2019年度の見通し」
-この先も景気回復が続くが消費税増税後は一時的に調整色が強まる-

執筆者:調査部 遠藤 裕基
「かながわ経済情報」2019年1月号収録

 要 旨 
1.  2018年の神奈川県景気は総じて回復の動きが続いた。企業部門では、海外景気の回復など受けて、北米向けや中国向けなどを中心に輸出が増加基調で推移した。また設備投資も、企業業績の改善や省力化投資のニーズ増などが後押しとなり増加した。一方の家計部門では、労働需給がひっ迫する中で雇用情勢の改善が続いた。ただ、年初の大雪や夏場の酷暑など天候不順が重荷となり、県内の個人消費は盛り上がりを欠いた。
2.  2019年度の県内経済も回復基調を維持しよう。まず家計部門では、労働需給のひっ迫により、雇用・所得情勢の改善が続くと予想される。こうした雇用・所得情勢の改善が家計の消費活動を支えよう。また2019年10月の消費税増税前には駆け込み需要が発生するため、個人消費が大きく増加すると考えられる。ただ増税後は駆け込み需要の反動で個人消費が落ち込むため、年末の景気はやや調整色が強まる見通しである。次に、企業部門では、中国経済の減速を背景に輸出の増勢が鈍ると予想される。その一方で、設備投資は2020年東京五輪に向けた関連投資の増加を背景に高水準で推移すると予想される。
3.  以上のような景気の姿を実質県内総生産で示すと、2018年度は前年比1.0%増になると見込んだ。2019年度についても同0.9%増と消費税増税のかく乱はあるもののプラス成長が続くと予測した。

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