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| 2003年1~3月期の実質GDPが前期比+0.0%のゼロ成長にとどまるなど、年明け以降は景気の減速が一段と鮮明になっている。 |
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| 今後を展望するうえでカギを握るのは米国経済の動向である。イラク戦争を前に冷え込んでいた消費マインドの改善などを受けて、個人消費が次第に回復することなどから、米国景気は2003年後半から徐々に持ち直すと見込まれる。ただ、米国企業がITバブルの崩壊に伴う過剰な設備や雇用人員の調整を未だに余儀なくされていることから、景気の回復テンポは当面緩やかなものにとどまる可能性が高い。 |
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| 2003年度のわが国経済は、年度前半は輸出の減速などから低調に推移すると見込まれる。また、雇用・所得情勢の改善を期待しにくいことに加えて、社会保障負担の増大などから、個人消費は弱い動きが続く公算が大きい。ただ、在庫の絶対水準が低く、在庫面から生産調整圧力が大きく高まることは想定しにくいことなどから、景気が本格的な後退に至る事態は避けられよう。年度後半からは米国経済の持ち直しを背景に景気が緩やかながらも輸出主導で立ち直ってくると見込まれる。
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| 2004年度も景気の回復力は高まりにくい。公共投資の抑制など政策面からのデフレ圧力は強く、また配偶者特別控除の原則廃止によって家計の租税負担が一段と高まることが個人消費を下押ししよう。設備投資は更新投資が中心となり、その回復力は限定的である。2004年度も景気は輸出頼みという不安定な状況が続こう。
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| 実質GDP成長率は2003年度が+0.2%、2004年度が+0.6%と低成長にとどまると予測した。名目GDP成長率は2003年度が-1.4%、2004年度が-1.1%と4年連続のマイナスになると予測しており、景気の回復実感は極めて乏しいものとなろう。 |