平成27年度 老人保健健康増進等事業


平成27年度 老人保健健康増進等事業 訪問系サービスにおける看取り期の利用者に対する支援のあり方に関する調査研究事業 > 調査の背景と目的

調査の背景と目的

本年度調査の背景

 今後、高齢化のさらなる進行に伴い、我が国においては「多死社会」を迎えることが予想されます。また、社会全体にとって、死がより身近なものになるとともに、増大する医療費の抑制や医療機関のキャパシティの問題、エンドオブライフケアに対する意識の高まりなどを受け、住み慣れた自宅で最期を迎えたいと考える高齢者等の数も増加すると考えられます。

 

 これに対し、在宅でのターミナルを支える専門職としては、往診医や訪問看護師が第一に想起されますが、独居高齢者の増加や家族介護力が低下する傾向を踏まえれば、高齢者の在宅生活を支える介護職の役割がますます大きくなることが予想されます。

 

 今般の平成27 年度の制度改正・報酬改定においても、20 分未満の短時間頻回訪問の要件緩和、中重度者や看取りへの対応など、介護職により高いケアの専門性・根拠性を求める方向性が示されているところです。また、これらの訪問系の介護サービスに対する社会的な要請あるいは制度的な期待に対し、一部の大手事業者や在宅介護の草創期からサービスを提供している事業者などを中心に、積極的に医療職と連携した在宅での看取りが行われているケースも散見されます。

 

 しかしその一方で、医療機関とのつながりの浅い事業者や中小規模の事業者においては、在宅での看取りへの意欲はあるものの、参画機会が少ないとの声も聞かれます。また、そもそもの問題として看取りに関与できる職員の育成においても課題を抱えている事業者も少なくないと考えられます。併せて、医療職や特養等などの施設を対象とした看取りの実態調査などは行われているものの、訪問系サービス、とりわけ介護職の看取りへの参画の現状や課題等については、詳細な調査が行われていない現状があります。

本年度調査の目的

 上記のような背景を踏まえて、以下のことを目的として調査研究事業を実施しました。

 

(1)
訪問系サービスの「看取り」への参画実態の把握
全国の訪問系サービス事業者の看取りへの参画状況や参画に当たっての阻害要因などに関する実態把握に向けたアンケート調査を実施しました。
(2)
訪問系サービスの「看取り」の事例の収集と分析
看取りに対して積極的に取組む事業者を対象としたヒアリング調査を行い、訪問系サービスとして看取りに取り組む際の体制(人材育成、多職種連携の状況など)、対応する職員の人選、今後の意向などについて事例分析を行いました。
(3)
訪問系サービスの「看取り」のあり方に関する提言
調査結果の分析を通じ、訪問系サービス事業者による看取りのあり方に関する政策提言を行いました。
(4)
成果物の作成・配布、普及啓発
以上の内容を取りまとめ、調査結果報告書を作成し、介護事業者団体への配布や弊社ホームページへの掲載などにより内容の普及、啓発を図りました。


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