平成27年度 老人保健健康増進等事業


平成27年度 老人保健健康増進等事業 効果的な離職防止対策推進のための多様な人材層ごとの介護人材の離職防止事由に係る調査研究事業 > 調査の背景と目的

調査の背景と目的

本年度調査の背景

 厚生労働省 社会保障審議会福祉部会福祉人材確保専門委員会が示した「2025年に向けた介護人材の確保~量と質の好循環の確立に向けて~」によれば、2025年(平成37)年には約30万人の介護人材が不足するといわれており、量・質ともに安定的に介護人材を確保するための道筋を示すことが喫緊の課題であると指摘されています。

 

 このような介護人材確保の問題に対応していくためには、新たな人材の採用を進めることもさることながら、介護の職場に入職した経験を有する者に対しての離職防止・復職支援策 を講じていくことも重要です。

 

 ただし、年齢や性別、雇用形態、コア人材か否か、業界への入職動機、キャリア形成志向等により、離職してしまう理由や背景等は異なるものと考えられます。また、復職支援という点に関しては、異業種へ転職しているのかといった離職後の人材の職業移動の状況や介護職の適性等によって、必要な方策等が異なると推察されます。

 

 このように考えると、現状の公的な離職防止・復職支援に向けた施策については「離職」という事象を一括りに捉え、やや「総花的」な対策が講じられている側面があると考えられます。特に、今後、限られた財源等を有効に活用するためには、介護職としての能力等が高い人材など、優先的に離職防止・復職支援を講じるべき層を定め、当該ターゲットを絞ったより効果的・効率的な方策を検討することが必要と考えられます。

 

 先行研究等においては離職理由をテーマとして取り上げたものは見られるものの、上記のように「離職」という事象についてより多角的な観点から捉え、また、必要な方策等について検討を行っている研究は少ない状況にあります。

本年度調査の目的

 上述のような問題意識に基づき、下記の点を主な目的として、調査研究事業を実施しました。また、これらの目的に対応する分析を行い、人材像別の属性・離職理由等を明らかにするなかで、それぞれに対する離職防止・復職支援等のために必要な方策等について検討を行いました。

 

(1)
職業移動の状況別や属性別の離職理由について分析し、介護職特有の離職の状況を明らかにしました
本事業では、「離職防止」に関して、単に仕事を辞めるという意味での「離職」とは異なり、「介護職から他業種に転職してしまうことを防止する」という視点で捉えている。また、本事業では、「ターゲット層」として、「過去、介護職を離職した経験があり、現在は介護職として勤務していない人」により焦点を当てることとしている。そのため、方策の検討にあたっても「復職支援」という視点に重きを置いているが、復職支援策を検討することは、上記の観点での「離職防止」ということと関連性が高いと考えられることから、今後必要となると想定される方策に関して、「離職防止・復職支援」と併記した表現を用いている。

(2)
介護職の離職者のうち、政策的に離職防止や復職支援をすべきと考えられる人材像(「ターゲット層」)を明確化し、同層の離職者に占める割合や個人属性、同層の離職理由を明らかにしました

(3)
政策的に離職防止や復職支援をすべきと考えられる人材像(「ターゲット層」)を離職理由別に分類し、「給与の低さ」や「人間関係」といった離職理由を選択した同層の人材の属性や介護の仕事に対する考え方、職場での経験などを明らかにしました


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