かながわ経済情報 : かながわ経済情報1997年10月号 業態内外との競合激化が予想されるコンビニエンス・ストア─神奈川の事例を中心に─
- 要約
- 1.わが国のコンビニエンス・ストア(CVS)は、1960年代後半の誕生以来、小売業界のなかで突出した成長を遂げてきた。その要因としては、(1)高い利便性の提供が消費者の幅広い支持を得たこと、(2)店舗経営のシステムとしてフランチャイズチェーン方式が採用されたこと、などがあげられる。
2.もっとも、90年代に入るとCVSの高成長は曲がり角を迎えている。店舗数の増加によりCVSを取り巻く経営環境は厳しさを増しており、情報システムや商品開発力などに劣る単独店は80年代末頃から減少を続けている。
3.CVSの密集する大都市圏において経営環境の厳しさは特に際立っている。業界では店舗支持人口2千人程度が1店舗あたり売上高の飽和点といわれており、大都市圏のCVSは店舗支持人口からみて飽和状態を迎えている。
4.神奈川においてもCVSは高い成長を遂げてきたが、CVSの密集度合いは東京、大阪に次いで全国で3番目に高いことなどから、県内でもCVSの競合が激しくなっているとみられる。地域別には、平塚市や相模原市などで相対的にCVSの経営環境が厳しくなっている。
5.神奈川では今後も大手チェーンの新規出店意欲が強いことなどから、業態内外との競合が一段と激化するとみられる。
そうした競合に勝ち残るためには、CVSの特性である利便性をさらに高めることによる他業態とのすみ分けが重要である。また、業態内での競合に関しては、(1)店舗立地の優位性、(2)本部と加盟店の連携強化、(3)他チェーンとの差別化、がポイントとなろう。